「たくさんの会社に頼めば売れる」は本当でしょうか?


不動産を売却するとき、不動産会社と結ぶのが「媒介契約(ばいかいけいやく)」です。

媒介契約の内容は、法律で決まっています。

つまり、どの契約を選ぶかで、不動産会社の義務や責任が変わります。


この契約には、主に

「一般媒介(いっぱんばいかい)」

「専任媒介(せんにんばいかい)」

「専属専任媒介(せんぞくせんにんばいかい」

の3種類があります。


今回は、特にご相談の多い一般媒介と専任媒介の違いを、できるだけ分かりやすく解説します。

一般媒介とレインズ


一般媒介には、以下のような特徴があります。


・複数の会社に同時に依頼できる

・自分で買主を見つけることも可能

・不動産業者による販売状況の報告義務はない

・レインズ登録義務はない


「何社にも頼めるから安心」と感じる方が多い契約形態です。


ここで重要なのが、上記で挙げた「レインズ」です。


レインズとは、不動産会社だけが見ることができる物件情報の共有システムです。

正式には「指定流通機構」といいます。


近畿地方では 近畿圏不動産流通機構が運営しています。

専任媒介の場合は、媒介契約から7日以内に、このレインズへ物件を登録する義務があります。

しかし、一般媒介には物件の登録義務がありません


レインズは

"全国の不動産会社が検索できる"

"他社からの紹介が入りやすい"

"価格変更などの情報も共有される"

という特徴があります。



一般媒介でレインズに登録されない場合・・・


物件の情報が一部の会社だけにとどまる

他社が物件を把握できなかったり、情報更新が共有されない

紹介される機会が減る


という可能性があります。


特に地方エリアでは、購入を希望される方は1社だけで探していることも多くあります。

購入希望のお客様が訪れた会社が物件を知らなければ、当然紹介もされません。

つまり、「知られていない物件は検討されない」ということです。

⇒レインズに登録されていなくても、ポータルサイトに広告が出ていれば大丈夫?



アットホームやSUUMOなどのポータルサイトへの掲載は、 法律上の義務ではありません 。

実際、物件の掲載には会社負担で広告費がかかる事がほとんどで、掲載するかどうかは各社の判断です 。


つまり、「複数社に頼めば必ず露出が増える」というわけではありません。


さらに注意したいのは、同じ物件が 同じ写真・ 同じ内容・ 同じ価格 でいくつも並ぶことです。


買主側から見ると、 「どこに頼んでも同じ」 「値下げ待ち物件かもしれない」 という印象につながりやすく、

結果として価格競争に入りやすくなります。

露出が増えることと、売れやすくなることは、必ずしも同じではありません。

専任媒介のメリット・デメリット


専任媒介の特徴としては、以下のような特徴があります。

 

・依頼は1社のみ

・自分で買主を見つけることは可能

・7日以内にレインズ登録義務あり

・不動産業者は、2週間に1回以上の報告義務あり


専任媒介では、販売状況の報告が法律で義務付けられています。

問い合わせは何件あったか? 内見は何件あったか?  市場の反応はどうか? これが定期的に分かります。

販売管理が一元化されるため、販売計画を立てやすいのが大きな利点です。



もちろん、デメリットもあります。


会社選びを間違えると動きが鈍る可能性がある。

 依頼できるのは1社のみです。

 その会社が積極的に動かなければ、販売活動は広がりません。


「囲い込み」のリスク

 本来、レインズに登録された物件は他社からも紹介されます。

 しかし一部では、自社で買主を見つけたいという理由から、他社の紹介を積極的に受けない「囲い込み」が問題になることがあります。

 ※これは業界全体の話ではなく、一部事例として国土交通省も注意喚起しています。


依頼中は他社に変更しづらい

 専任媒介の契約期間は最長3か月です。

 途中で解約は可能ですが、一般媒介に比べると動きにくさを感じる方もいます。


前述したように、専任媒介は、 情報がレインズに登録され、 報告が必ずもらえるというメリットがあります。

一方で、信頼関係が前提という側面もあることから、「契約の種類」より「どの会社に任せるか」が重要だと考えています。




その会社、その営業マン、信頼できそうですか?




ここまでをまとめると・・・

一般媒介は自由度が高いが、責任の所在が分散しやすい

専任媒介は責任が明確だが、会社選びが重要


というお話をしてきました。


制度の違いも大切です。

レインズ登録の有無や報告義務も重要です。


しかし、実はもっと大事なことがあると思っています。


それは、「この会社、この担当者なら任せられる」と思えるかどうかです。


不動産売却は、 数百万円、時には数千万円が動く大きな取引です。

依頼する会社は、価格の判断、買主との交渉、契約の説明、引き渡しまでの管理すべてを任せる相手です。


もし複数の会社の話を聞いて、 「この人なら信頼できる」 「説明が分かりやすい」 「誠実に向き合ってくれている」

そう感じる会社があるのであれば、 専任媒介をおすすめします。


責任を一本化し、腰を据えて販売活動を行えるからです。


一方で、 「どの会社も同じように感じる」 「正直、違いがよく分からない」 という場合は、

無理に専任にする必要はありません


まずは一般媒介で様子を見る、という方法もあります。

そして活動内容や報告の様子を見ながら、 改めて専任を検討することもできます。


大切なのは、 契約の形式ではなく、 納得して任せられる状態であるかどうかです。


売却は急がなくてもいい場面もあります。

だからこそ、焦らず、話を聞き、比較し、判断してください。


そのうえで「ここだ」と思える会社が見つかったとき、 専任媒介は力を発揮します。



制度を知り、仕組みを理解し、 そして最後は「人」で選ぶ

それが、後悔の少ない売却につながります。


制度と仕組みを理解し、冷静に選ぶことが大切です。

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